組織風土

社員の意識改革を実現させる方法

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なぜ社員の意識を変えられないのか?

1.なぜ社員の意識を変えられないのか?

ある職場の現実

何事にも参加意志やモチベーションはなく、陰で不平不満をもらす社員たち。誹謗中傷ばかりで、態度の悪い社員がやけに目につく。

サポートや協力体制もなく、お互いに信頼関係が生まれずに、チームワークの悪さは中々改善されない。だから、コミュニケーション不足や協力関係のごたごたで社内の雰囲気は悪い。

無気力で元気もやる気もなく、自発的に行動する社員はいない。責任感はなく、言い訳ばかりで問題は先送りされ、面倒くさいことは、誰もやりたがらない。

上司が見ているときには仕事しているふりはするけれど、見ていないときには何もやらない部下。ストレスを抱え続けた結果、メンタルをやられてしまう社員もいる。

結果、作業効率は上がらず、コストは上がるが、成果は当然上がらない。  

 

ある社長の思い                                                                         

会社の雰囲気をよくしたいし、社員同士の人間関係を良くしたい。無関心なのか、お互いに気遣って遠慮しているのか、どうもよくわからない。

褒めたり叱ったりしているつもりだが、「主体性」や「やる気」は見られず、自分からは何の行動もしない。世の中には、従業員たちが自発的に動いて成果をどんどん出している会社があるらしい。

うらやましいかぎりだ。
それに引き替えわが社は・・・。

でも、どうしたらそんな理想的な会社になるのだろうか。うちのやつらじゃ、はっきり言って想像もつかない。

孤独このままでは絶対に無理だ。経営者とは孤独であり、孤立無援な闘いを強いられる存在なのだと思う。だから、自分の気持ちは誰にもわかってもらえないのだろう。

マネージャーたちは、今時の若者はわからないとさじを投げ、厳しく指導すれば、すぐに会社を辞められてしまうからと、部下たちに業績結果を追求しない。

だから、馴れ合いの空気が蔓延し、いつもそこそこの結果しか出ない。万年達成されない業績目標は、まるで、絵に描いた餅だ。

明らかにマネージャーたちの無能さと無責任さを感じる。信頼できず、任せられない奴ら。この際、思い切ってやつらをクビにして優秀な人材を雇い入れ、取り換えてしまいたいところだ。

しかし、残念ながら簡単に代わりの人材など見つからないし、そもそも、うちのような中小企業には、そんな優秀な人材は来てくれない。  

 

ある社員の思い

実際に動いているのは自分。こんなに忙しく自分は頑張っているのに、誰も評価してくれないし、上司も同僚もお互いに無関心。だから、本当に頑張るだけ損だと思う。

なんであんなやつらのために自分が犠牲者にならなければいけないんだ!他人のことはあまり言えないが、損得勘定だけで動いているやつらばかりの腐った組織だと思う。 

孤立社長はこの実情をちゃんと理解しているのだろうか? 甚だ疑問だ。

大体、偉そうに批判はするくせに、フィードバックもアドバイスも上司はしてくれない。成果が出れば自分の実績、クレームやミスは部下のせい。これじゃ、まるでジャイアンにいじめられるのび太と同じじゃないか。

そもそも正しい評価なんてされないんだから、自分にとって都合の良い報告さえしておけばいい。問題はしっかりと隠しておこう。

それに、もう、目標設定なんて面倒くさいことさせるなよ!
余計な仕事が増えるのは御免被りたい!
ただでさえ忙しいのに、目標なんて立ててもどうせ達成できたことなんてないじゃないか!

大体、達成したところで、どうせ自分たちの待遇なんて変わらない。やる気なんてとっくにないけれど、生活があるから、こんな会社でも簡単には辞められない。だから、なるべく目立たないようにして適当にやり過ごそう。ああ、くだらない毎日だ!  

さて、あなたは、この会社で働きたいと思いますか?

私は、はっきり言って嫌です。
が、実はこれ、以前の私の会社がモデルです・・・

「問題」が多い会社だと思いますか?
ならば、「問題」があるとすれば、その原因はどこにあるのでしょうか?
誰が「問題」を引き起こしているのでしょう?

社長でしょうか?
それとも社員でしょうか?

社長はどこに問題があると思っているのでしょうか?
社員はどこに問題があると思っているのでしょうか?

どうやらお互いに平行線のようです。実は、これこそが、会社が変わらない本当の理由です。

問題を問題だと思わない人に対して、問題であることをどのようにして伝えたら良いのでしょうか?また反対に、問題ではないと思っている人が、そうじゃない人に対して、それをどう伝えたら良いのでしょうか?

経営者にも問題はありますし、社員にも問題はあります。
それが普通です。お互いに人間ですから。

しかし、どうやら相手の悪いところしか見えないようです。ならば、どちらが先に問題を解決しなければならないと思っているのでしょうか?

本来「どちらとも」というのが正解でしょう。どちらにも問題があるのですから。

しかし、その様にお互いに責任を求められる場合、自立した大人同士の関係や環境があることが前提となります。しかしながら、会社というのは役割や権利や権限などが複雑に入り組んでいるところです。

立場的に強い、弱いという上下関係が生まれ易い環境にあるわけで、経営者と社員では、フラットな関係性は成り立ちにくいということです。

これは親子の関係に似ています。子供は親を見て育ちます。親を習わないと生きていけないからです。子は親の鏡です。つまり、社員は経営者の鏡。ならば、まずは経営者が率先してリーダーシップを示すことが求められるということになるでしょう。  

カメレオンQ.なぜ社員の意識を変えられないのでしょうか?

A.それは、経営者の意識が変わらないからです。

これが答えです。  

 

2.そもそも社員の意識変革は必要なのか?

がむしゃらに物を作れば売れる時代は終わりました。以前は、商品やサービスの質が少しぐらい他社より落ちていても、会社の人間関係が悪く、社内の雰囲気が悪かろうと、それでも何とかなったのかもしれません。

大量生産・大量消費しかし、現代の豊かさの価値基準は、物の豊かさから心の豊かさへと大きくシフトしています。個性や心、感動を大事にする企業が求められる時代がやって来ています。

つまり、企業の経営方針やスタイルも、単純な拡大成長路線ではなく、質を重視した経営を余儀なくされる方向へと向かっています。したがって、企業から求められる人材像も以前の姿からは必然的に変わっているわけです。

もはや、働く人の意識の変革なくしては企業の存続は危ういということです。ですから、変わりつつある環境に合わせ、すでに働いている社員自身も意識の変革が必要なのです。それは、単なる労働力や一作業者ではなく、自ら考え自ら動くというような自立した社員の姿です。

そのためには、提供する商品やサービスの質の向上のために、社員の成長、特にスキルアップだけではなく、心理的な成長、つまり、人間的な成長が不可欠な要素となりつつあります。

ということは、生活のためにただ働く、つまり、時間分提供した労働力の見返りとしての対価をただもらうというような依存的な働き方を、働く人自身も変えていかなくては、働く場所がどんどん限られてしまうということになります。

しかし、社員の成長の前に必要なことがあります。それは、やはり、経営者自身の意識の変革です。経営者の人間的な成長が企業の成長を促します。

社歴が長く、いわゆる老舗と言われる企業の経営者ほど、現状試されていることでしょう。特に過去の成功体験が多ければ多いほど、それが足かせとなり、変化を拒むことになります。しかし、意識変革こそが、企業がブレイクスルーをするための唯一の道であることは間違いありません。  

 

3.意識変革とは何か?

変わらなくてはならない環境において、常に足かせとなるのは、過去に積み重ねた実績や、蓄積された知恵や考えなど、価値観と呼ばれるものです。それらが変化を拒み抵抗します。経営者なら、今までの経営スタイル、社員ならば、今までの働き方や習慣を変えたくないという抵抗心が変化を拒むのです。 

逆さのグラスたとえるならば、「下向きのコップ」と同じです。下を向いたコップには何も入りません。ですから、変化を促すためには、変化を拒むことなく、新しい価値観を受け入れる心が必要になるということになります。ズバリ、意識変革とは、「受け入れる心を持つこと」でしょう。

これは、もちろん他人のコントロールを甘んじて受け入れるということではありません。心に柔軟性を持つということです。そして、それが個人と組織の成長を促します。コップが下を向いたままでは、器の大きな人になりたいも何もあったものじゃありません。

実際に結果に変化を起こすのは、プロセスで何をしたかということです。つまり、行動の変化です。人間の行動を変えるのは、思考や感情ですから、それらを変化することが結果を変化させることになります。

たとえば、ダイエットの為にジョギングをしようと、ランニングウェアやシューズを一式そろえたが、1年間放置しているだとか、机の上が汚いのでいい加減片付けないといけないとずっと思い続けている、というように、やろうとは思っているが中々やれていない状況をブレイクスルーさせる意識変革も大事なことですが、その前に、まずは心に柔軟性を持ち、受け入れる心を育むための意識変革が必要です。  

 

4.社員の意識変革のために経営者はどうあるべきか?

まずは見えないものを大事にするマインドが必要です。つまり、思考や感情、気持ちにフォーカスしたマネジメントを行うことが大切です。

しかし、目に見えないものは、つかみどころが難しく、わかりにくいものなので、嫌煙しがちです。数値化や効率化とは最も離れたところにありますので、利益至上主義や結果論者からは特に敬遠されてしまいます。

が、苦手だからやらないという論理は時代の流れに逆行しているばかりか、問題解決の糸口を自ら放棄していることになりますので問題は吹き出すばかりとなるでしょう。

結論から申し上げますと、意識変革は「自己変革」でしか成しえません。つまり、自ら変わりたい、成長したいという意欲を持った人間でしか変化することができないということです。

しかし、自ら変わりたい、成長したいという欲求は持ちますが、他人に変えられることは避けたいと思うのが人間でもあります。なぜならば、それは自由を奪われることに等しいからです。 

コントロール他人が他人の心を変えようとする行為は、洗脳やマインドコントロールと呼ばれるものです。ですから、経営者は、反対に極力コントロールを手放す経営を目指すことが必要になります。そして、社員一人ひとりの「成長」を引き出すように自社の環境を整えていかねばなりません。

ビジネスの根幹を為すキーワードは、「成長」であり、それを中心としたマネジメントが求められます。社員の「成長」こそが会社の「成長」であり、個々の社員の意識変革が組織文化の変革を起こし、成果を高めます。  

組織文化の変革。それを実現させるには、組織全体や部署全体での画一的、統合的なマネジメントではなく、一人ひとりの個を大事にするマネジメントが必要です。人をただの労働力として見るのではく、血の通った一人の「人」として見る経営です。

そのためには、社員個々のパーソナリティーを知ろうとすることが大事な事であり、無関心はやめ、一方的なコントロールは機能しないことを、常に意識しておかねばなりません。

経営者自身が依存的マインドを手放し、コントロールフリーな経営に移行することが、社員の意識変革を促進させます。自由度の高い環境の中でこそ、依存型ではなく自立型の社員は育つのです。  

 

5.うまくいかない人の意識のメカニズム

真の自己変革や自己成長は本人自身の「気づき」から生まれます。知識や情報の詰め込みや植え付けだけではなく、「気づき」こそが、人間的、心理的な成長を促すことになるということです。

人間の生活は、90%以上がほぼ無意識の中で行われていると言われています。ならば、変化を起こすためには、まず、自分が無自覚、無意識でいることを自覚することから始めなければなりません。

つまり、それが「気づき」です。その結果、意識的な選択や行動をしていくことで、今までのパターンに変化を起こすことができるわけです。

私たちのもっている価値観は、無意識的に私たちの行動を選択させています。ですから、もし自分に間違いや問題があったとしても、それを正しいと思い込んでいたら、それに気づくことができないということです。

問題を問題であることには気づいていない状態。それを少し難しい言葉ですが、「自己欺瞞(じこぎまん)」の状態にあると言います。欺瞞とは「だます」「あざむく」という意味です。

つまり、自分で自分の心をあざむくことを指し、自分の良心や本心に反していることを、どこかで感じていたり、知りながらも、無理に正当化している状態です。

そうなると、自分自身に問題があるとは気づけずに、解決すべき問題として取り扱われないことによって、問題の根はさらに深いものになって行ってしまいます。

そもそも世の中のどんなことがらにも、元来価値はついていません。それが真実です。

私たちは物事を「ありのまま」に見ることができません。価値尺度を決めているのはすべて人であり、それは人それぞれの過去の経験に基づくものです。物事の良し悪しを決めているのは、自分、つまり、他ならぬ、「あなた」や「私」であるということです。過去の経験やイメージなどが価値基準をつくり出し、良し悪しを決めているのです。

ですので、価値観がつくり出す「良い」「悪い」は、万人に共通するものではなく、非常に個人的なものです。そして、その価値観が無意識下で私たちの思考や感情や行動をコントロールしています。自分がつくり出したものにコントロールされて振り回されているのです。

つまり、問題の本質、それはほとんどの問題だと思っている問題は、脳内で自分が描いたイメージによって引き起こされているということです。そして、さらにそのことをややこしくしているのは、無意識化された自分のイメージには、自分では中々気付くことができないということです。

脳は簡単にだまされます。ですから、自分の都合の良い様に自分をだましてしまうのです。それが「自己欺瞞」の正体です。

気づくためには、今まで見ていた景色を変える必要性があります。物の見方を変えるのです。

つまり、物事をとらえる視点や目線を変えるということです。たとえるならば、今まではめていた色メガネを変える、もしくは外すかのように、先入観を持たず、自分の価値観と言うフィルターを通さずに物事を改めて見直してみるということです。

なるべく「ありのまま」の姿で見られるようになると見えてくる世界が変わります。  

 

6.社員の意識改革を実現させる方法

ここまででお伝えしてきたように、意識を変えるというのは、他人から強制されて行うものではありません。ですから、ストレスなく自然な行動を生み出すための環境を、なるべく社員たち自らつくっていけることが理想的です。

それには、行動するための動機が「have to(~せねば)」 ではなく、「want to(~したい)」であることが、環境づくりを後押ししてくれる大事なことになります。

軍隊のような組織は、動機付けが前者のパターンで盲目的に行われ、強烈なコントロールによって統率されますが、同時に自ら考える力を失わせます。

軍隊にはまだ、志があります。愛する国や家族など、守るもののために勇気が湧いてきます。軍隊組織のような規律のある会社でもうまくいっているところがあるとするならば、それは、同じように志で結ばれているのかもしれません。

世の中の役に立つことや夢や希望が共有されていれば、人は厳しいことにも耐えることができます。しかし、単に最終的にクビを切られるかもしれないという恐怖感だけで統率をとろうとしていれば、健全な組織を構築することはできないでしょう。

だからこそ、最終決定権や大きな権利をもった組織内のトップリーダーが、どのような考え方をし、どんな言動をとるかで組織の姿は大きく変わります。つまり、社長次第で結果は大きく変わるのは明白です。

組織運営において、うまくいっていないと思われる状況があるのならば、やはり、今までのマネジメントを振り返り、改めなくてはならないところを改めるという覚悟が必要です。

社長が変われば、はっきり言ってそれだけで会社は変わります。社長の意識変革こそが社員の意識変革への最短の近道です。経営者のマインドや行動が変われば、おそらくどのような方法をとっても、時間が経てば、自然と会社は変わります。

やはり、まず大事なことは、経営者の「あり方」であり、組織風土を改善していくためのどんな「やり方」でも効果の差こそあれ、成果は出るものです。 

cycle手放す、信じる、任せる。つまり、自分の抱えている作業を手放して、社員を信じて、任せるということです。

これで会社は変わります。自立と成長が進むからです。心配かもしれませんが、驚くほどに会社は社長がいなくても十分に回ってしまいます。

何とかなってしまうのです。嘘だと思ったら、一カ月間連絡の取れないところへ旅行でもして来てください。とはいえ、本当にトライして、おまえのせいで会社がおかしくなった!なんて言われても困りますので、そこは自己責任でお願いいたします。

とはいえ、こんなことばかり書いていては、私という存在の価値がありませんので、そうは言っても、意識変革や風土改善の時間を短縮させる方法をお伝えしたいと思います。

繰り返しになりますが、社員の意識変革を促すために経営者がすることは、まずは第一に経営者自身の意識変革です。そして、その次が環境づくりです。

あれやこれやと社員を説教することが仕事ではありません。社員たちの心理的な成長を促すためには、受け入れる心を育て、気づきを得られるような環境を整えることです。

自分こそが変わるという気づきの結果、必要なことを自らの力で行って行くというのが「自立」をするということです。ということは、外側から行動するための動機を与えるのではなく、社員たち自らが行動するための動機をつくり出せるようにサポートしていかねばなりません。

社員たち自らがやる気やモチベーションを保つことができるように促していくということです。

ということで、ここでは、そのサポートの仕方を参考までにいくつかご紹介したいと思います。ポイントは、いきなり、日常業務以外の仕事を極端に増やさないことです。

忙しい最中、業務に直接結びつかないことが押し付けられると、それだけですねてしまいますので、あまりあれこれとやってもらうことはお勧めしません。抵抗心が生まれ、逆効果なこともあります。

なるべく今までの業務の中で習慣になっていることを少しずつ利用して質を変えていくことで、無理なく、抵抗なく続けていくことができるかと思います。  

 

客観力を身につける

一言でいえば、振り返りです。その振り返りの中で気づきを得て、考え方や行動を改めていくことで変化を起こしていきます。ですから、自己の行動を振り返り、それをアウトプットできるような環境を社内にたくさんつくっていくことが客観力を身につけるために有効なことです。

たとえば、日報や朝礼、終礼などの設えを少し変えて、ひたすら業務報告だけをさせるのではなく、そこで自分の振り返りをしてもらう時間をつくるだけで日々の行動が変わります。

どう考えた、どう感じた、何ができたのか、何が足りなかったのか、どうすれば良かったのか、というように振り返るのです。つまり、結果だけにフォーカスを当てるのではなく、プロセスにフォーカスをしてもらうということです。

そして、上司はそれに対して、単なるダメ出しではないフィードバックを返してあげることで、部下は励みに感じます。理想としては、上司部下の個人面談を行い、部下のフォローをしていければよいのですが、時間が取れなければ、普段の会話の中でも可能な時間で部下の話をなるべく聴いていきたいところです。  

 

価値観をすり合わせる

物事を「ありのまま」で見られるようにするためには、そのようなトレーニングをするしかありません。つまり、学習です。

人がそれぞれにもっている価値観は違います。ですから、より原則的、本質的な価値観を知ることで、文句の出ない公平な価値観をお互いに共有することができるようになります。より本質的な視点から物事を見ることで、普段の自分の視点を変える、フィルターをはずすことが可能になります。 

『自分の小さな箱から脱出する方法 -アービンジャー・インスティチュート著-』物事の本質を見る力を養うことが大事なことです。そのような原則本や研修などはたくさんありますが、私がお勧めするのは、『7つの習慣-スティーブン・R・コヴィー著-』と『自分の小さな箱から脱出する方法 -アービンジャー・インスティチュート著-』です。

こういったものを活用しながら、人間力を高められるような育成を根気よく行うことが有効です。ここは、非常に時間のかかることだと思いますが、経営者がまずはその重要性を訴え、そして自ら実践することを心掛け、時間をかけて社員のみんなに理解を促していくことが必要です。

社員の人間的な成長こそが会社の成長につながると信じて行動を継続することです。  

目的意識を持つ

普段、無意識的に働いていることに対して、意識するということです。

そもそも何のために目の前の仕事を行っているのか。誰のために自分のやっていることがお役に立っているのか。そのような疑問すらもたぬままでは、働く目的が経済的な理由だけになりやすい状況を生んでしまうようになります。つまり、お金の奴隷です。

また、そもそも会社がどちらの方向に向かって動いているのか、知らぬままでは自立した行動がとれません。たとえるならば、東に向かっている電車なのか、西に向かっている電車なのかもわからないまま旅を続けるようなものです。

いつも不安がつきまとい、安心安全は確保されていません。ですから、目の前のお金や待遇などの、つかまりやすいものに依存するという働き方になりやすくなってしまいます。

それを回避するためには、行き先を決めることです。つまり、組織のミッションやビジョンをしっかりと定めることです。

そして、組織のあり方を考え、さらには行動指針やクレドなどを整備して、行動の変容を促していくことで、少しずつ価値観はすり合わされて行きます。

行き先を知り、納得してもらった上で共に進む。それが理想です。勝手に連れてこられたとは言えなくなるからです。

 

目標を立てる

目標意図して行動するということです。これは、決して結果でコントロールするということではありません。

ノルマやいわゆる結果責任ばかりを追われるようなマネジメントではプロセスが崩壊します。結果をクリアすれば良いという短絡的な考えでは、自己中心的な行動を誘発し、チームワークは失われます。

目標はあくまでプロセスを豊かなものにするものであるべきです。つまり、社員個々の成長を促すための行動の動機としたいものです。

できれば、楽しめるものやワクワクできるような目標を立てることができれば良いですが、毎日のルーティン化された仕事や、日常化された環境下では、中々簡単なことではないかもしれません。

ですが、創意工夫と、組織のメンバー同士が、相互にお互いに関わり合うという文化を同時に構築していけば、目標も自分だけのものではなくなっていきます。

自分の目標も他人の目標と変わらないような位置付けにして行けば、達成したときの喜びも分かち合うことができるようになります。  

 

習慣化する

要は、諦めずに続けることです。

「思考が変われば、行動が変わる」
「行動が変われば、習慣が変わる」
「習慣が変われば、人生が変わる」

というような言葉を今までに一度は見たり聞いたりしたことはないでしょうか。マザーテレサさんやウィリアム・ジェームスさんなどの言葉が有名ですが、もともとはヒンズー教の教えにある言葉だそうです。

正確には、
「心が変われば、態度が変わる」
「態度が変われば、行動が変わる」
「行動が変われば、習慣が変わる」
「習慣が変われば、人格が変わる」
「人格が変われば、運命が変わる」
「運命が変われば、人生が変わる」

となりますが、「社員の意識変革を実現させる方法」は、ここに集約されると言っても良いかもしれません。

今までのことを踏まえた上で少し捕捉しますと、「気づき」を得ることで無意識の領域を意識することができるようになり、考え方が変わります。そして、その意識を継続することで、言葉や態度や行動を変えることができるようになります。

意識し続け、前向きな言葉や態度を選択し、より良い習慣を身につけることで、人間性が向上します。つまり、成長して行きます。 継続は力なりです。善きことはカタツムリの速度で動く。ガンジーさんもこうおっしゃっています。  

 

安心安全を確保する

人間は、衣食足りて礼節を知るようになります。成長というキーワードで社員をマネジメントしていくことは、人としての高次な欲求を取り扱っていくことになります。つまり、非常に難しいことであるということです。

その前には、低次な欲求である安全欲求や所属欲求などを満たしていかねばなりません。そこがある程度満たされていなければ、やはり、人間ですから、中々自己実現というところに目が向かないのかもしれません。ですから、物心共に満足できるような職場環境が理想です。

ES(社員満足度)に目を向け、衣食足りぬことに対する不安や不満の解消を行うことや、環境を変えていくことは経営者の仕事として非常に重要なこととなります。

そのために、CS(顧客満足度)を高め、提供する商品価値を高め、利益をあげていかねばなりませんから、ESとCSの両輪をバランスよくまわしていくことが求められるようになります。  

 

7.まとめ

変わらなくて良い(問題は私にない)と思っている人たちの心理。「変わらなくてもよい、変わる必要はない」という言葉の意味を、「行動しなくてもよい、行動する必要はない」というように解釈するならば、行動できない最大の理由は、「勇気」と「責任」の欠如にあります。

ストレスを抱えるような不安な環境があることや、無責任な態度や言動が蔓延している職場では、組織にとって不可欠な「成長」は存在しません。あるのは「衰退」だけです。

「成長」とはプラス方向への「変化」のことであり、「衰退」とはマイナス方向への「変化」のことです。「衰退」したいとは誰も思っていないでしょうから、変わる必要がないということは、組織の成長はなくても大丈夫であるという宣言をしていることに等しいことになります。

組織やチームを構成するメンバーは、各々がそこに存在する意義を常に問われています。それは、組織に属するすべてのメンバーが、常に「責任」を問われているということです。

自立組織の「成長」のためには「自立」した社員の姿が不可欠です。そして、その「自立」を促す根底にあるものが、主体性を発揮するための「責任」と行動するための「勇気」です。

自分で何でも自由に決めて行動することは楽しいことです。コントロールされて生きるのは、面倒臭くて辛いことです。ですから、わがままに無責任な行動をとってしまいたくなります。しかし、自由に決めることの裏側には、責任や覚悟や勇気がワンセットで存在します。

たとえば、自分のお金の使い道は、大人であれば普通は自分で決めるものです。なので、何か買い物をして失敗してもそれを受け入れる覚悟はできています。つまり、責任を負う覚悟はすでにできているわけです。

また、大きな買い物をするときなどは、失敗したらどうしようかという不安から、勇気が必要だったりするものですが、本当に欲しいものだったら、比較的簡単にハードルを飛び越えてしまったりします。不安よりもワクワクが上回っているからです。

仕事でも何でも同じです。後悔や言訳などすることなく、自分の意思で決断し、行動し、楽しく仕事をしたいと多くの人が思っているはずだと思います。それが自立した社会人としての本来あるべき大人の姿だからです。

勇気をくじく最大の原因は、恐怖や不安です。多くの人が、不安や恐れから行動ができずにいます。

逆にもし行動していたとしても、その動機が恐怖によってコントロールされたものであれば、それは本人の意図するところと違います。したがって、苦しみが増すのです。仕事が楽しいはずがありません。

子供たち、特に幼稚園や保育園児たちの姿は、「ありのまま」そのものです。やることなすこと全力投球、いつでも真剣で本気です。楽しいことやワクワクすることには目がない、遊びの天才です。

しかし、自立していない子供は時として「わがまま」になります。だから、大人に叱られます。

対照的に、仕事をしている世の中の大人たちはどうでしょうか?
生きながらにして死んでいるような人をたまに見かけませんか?

大人は社会の中で生きていますから、「ありのまま」であることに遠慮して、我慢したり、努力することを覚えて生きてきました。しかし、その結果、辛いことも増えたわけです。

人と人との関係性の中で「ありのまま」で生きるということは、自らの人生を主体的に責任持って生きるということです。それは、他人に責任を押し付けずに、自身に向き合いながら生きるということです。

ひいては、それが他人を受け入れて向き合うことにつながります。意識変革するということは一言でいえば、「受け入れる心を持つこと」です。

「ありのまま」に生きない、つまり、自分の人生に責任をもたないということは、無責任に他人の人生に依存して生きるということになります。

そういう人を「わがまま」と呼びます。「わがまま」な人は、自立できていない子供と一緒です。ですから、社内に「わがまま」な人たちが多いほど、その人たち自身の成長がなければ、組織の成長はありません。

ワクワクする環境を考え、環境を整える。ワクワクが勝てば、きっと勇気なんていらなくなります。 恐怖やコントロールをなくし、安心安全な環境をつくっていく。社員の小さな一歩をサポートし、後押しする。そんなことの積み重ねがリーダーの仕事だと思います。

そして、そういう「あり方」を考え、成長し続けることが、リーダーの意識変革の要になるのだと思います。  

 

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